[著者コメント漫画]理系漫画家になるには(7)-2005年世界物理年 World Year of Physics 2005

(ここまでの記事)
理系漫画家になるには(1)-はじめまして!理系の漫画家です!
理系漫画家になるには(2)-石垣島でファミコンに出会い、高校で物理に出会うまで
理系漫画家になるには(3)-文系女子高生、物理学科を受験!?
理系漫画家になるには(4)-10社中5社から仕事が来た出版社持ち込みツアー
理系漫画家になるには(5)-GoGo!ミルボ初登場
理系漫画家になるには(6)-ゲーム業界昔話

このシリーズは2011年に描いた自己紹介漫画『理系漫画家になるには』をキリヌキで数話に分割して、ブログで無料公開するものです。このタイトルの通り、理系の漫画家になりたい人がいたら、何かの参考にしていただければと思います。


はやのん…1999年にゲーム雑誌デビュー、その後、現在は大学の研究を漫画にする「理系漫画家」「研究広報」を仕事にしています。
理系漫画家はやのんプロフィールのページ
Twitterにも略歴あります!


前回は1999-2004年あたりにメインの活動分野としていたゲーム雑誌、ゲーム業界の昔話をしていました。予算が大きくて出版もまだ活発だったので景気のいい話が多かったです。20代をそういう辺りで過ごして、出版社や編集者、周囲の人々のおかげで楽しい仕事をたくさんすることができた…という話でした。何度も御礼を言いたいところです。ありがとうございました。活動が派手な分消耗も激しい業界で、多くの友人が若くして業界を去りましたが、自分もその一人になってしまいました。というわけで今回は2005年の話です。


科学技術館の建物ですね。事務局がこの中にあったんです。

2005年は「世界物理年」でした。

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世界物理年(せかいぶつりねん、: World Year of Physics 2005)は、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)が制定した年。European Physical Society (ヨーロッパ物理学会)の提案を受けて、アルベルト・アインシュタインによる一連の大いなる科学的発展の年、1905年の100年後にあたる2005年を世界物理年として宣言している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/世界物理年

「自分は物理学科出身だし、物理の漫画を描いて、恩返しをしよう。」

そこで初めて出会ったのが、並木雅俊先生でした。

私はもともと文系女子で、間違って物理学科に進んでしまったようなものだったし、落ちこぼれたからこそ漫画家などというわけのわからない職業に就いてしまったので、自らと物理の間には、一体感というものはなかったわけですが、この時、並木先生が

「えぇ?物理出身の漫画家!? そうですかぁ、我々の仲間ですね!」

と第一声で仰ってくださったのです。今思うと、並木先生のお人柄に加えて、物理学徒独特のハートの温かさで、まさに物理分野の人特有の素晴らしいところだったのだと思うのですが、当時の私は、これを言ってもらったとき、本当に驚きました。

この一言のおかげで、その後、ますます理系の話、物理の話を漫画にしていこうという気持ちになりました。

並木先生、ありがとうございまーす!その後ずっと物理の漫画を描いています。


World Year of PHYSICS 2005

いま検索してみたところ、日本物理学会のウェブサイトに当時の記録がありました。
World Year of PHYSICS 2005
https://www.jps.or.jp/wyp/index.php

こんな絵を描かせてもらって、いろいろ使っていただいていました。

物理チャレンジ2005

この世界物理年2005年の夏に、高校生を対象とした全国物理コンテスト「物理チャレンジ2005」 が初めて実施されました。開催地は、日本に現代物理学の父・仁科芳雄先生のゆかりの地、岡山でした。

この年から、世界大会である国際物理オリンピック International Physics Olympiad (IPhO) への参加をするということで、その代表を選考する国内大会…という位置づけでした。

その募集ポスターを描かせてもらったのが、これです。

2005年の、はやのん作ポスター!ひええ~!

ドッヒャ~!とひっくり返りたくなるような絵ですが、当時一生懸命描きました。しかしこの絵は、たしか世界物理年、全世界でのポスターコンテストか何かで、受賞したんですよね~。日本っぽいおもしろみがあると思ってもらえたのかもしれません。

当時は若くて何もわからなかったのですが、物理チャレンジの立ち上げと国際物理オリンピック International Physics Olympiad (IPhO) への参加は、日本物理学会の大人の先生方が、何年もかけて準備をして取り組んでくださっていたものだったようです。私は当時はまだ若く物知らずだったので、最初からすごいものがそこにある、みたいな感じでいました。

物理チャレンジ2005
http://www.jpho.jp/2005schedule.html


物理チャレンジのポスターはその後も数年にわたって担当させていただいていたのですが、その後子供ができたりしたこともあり、関与度がどんどん減ってしまって、手伝いから外されてしまいました。力不足で申し訳なかったです。今は、若い人のために働く側です。何でもお手伝いをしたいのですが…?

物理チャレンジは現在も続いています!2022年には日本で国際物理オリンピックの開催もあります。応援していきたいですね。

全国物理コンテスト 物理チャレンジ!
http://www.jpho.jp/

国際物理オリンピック2022 日本大会
https://ipho2022.jp/


後で何か追記するかもしれませんが、今回はここまでにします。次回は、ついに「理系漫画家」と名付けられる、2007年、応用物理学会75周年イベントの話です。


(次の記事)
理系漫画家になるには(8)-2007年「応用物理」75周年イベント

↑これは、はやのんが今仕事で使ってる、激安WACOMペンタブレットです。

[著者コメント漫画]理系漫画家になるには(4)-10社中5社から仕事が来た出版社持ち込みツアー

理系漫画家の過去漫画シリーズ、その4です。今回は大学卒業から1年、東京の出版社持ち込みツアー!の辺りです。10か所回って半分から連載の話や仕事が来ていたので、あんまり、苦労話ではないと思います。それではどうぞ↓

(ここまでの記事)
理系漫画家になるには(1)-はじめまして!理系の漫画家です!
理系漫画家になるには(2)-石垣島でファミコンに出会い、高校で物理に出会うまで
理系漫画家になるには(3)-文系女子高生、物理学科を受験!?

(前回までのあらすじ)沖縄の石垣島で育ったはやのんが文系女子高生だったのに大学は物理学科へ、上京しミュージシャンの夢破れ、バイト、生活苦、「しかたなく」絵の仕事を始めました。

このシリーズは2011年に描いた自己紹介漫画『理系漫画家になるには』をキリヌキで数話に分割して、ブログで無料公開するものです。このタイトルの通り、理系の漫画家になりたい人がいたら、何かの参考にしていただければと思います。


追記:どうもこのタイトルから「今デビューした瞬間の理系の漫画家」と思われたようで!?びっくりしました。1991年に商業誌デビュー、2002年に科学誌デビュー、2007年から「理系漫画家」と名乗り、理工系に特化した漫画を長年描いている者です…!
理系漫画家はやのんプロフィールのページ
Twitterにも略歴あります!


東京での商業誌デビュー直前辺りのバイト生活~出版社持ち込み頃の話をします。

※地元沖縄での商業誌デビューは早くて、16歳の時でした…

これを語ろうと思ったのは最近、絵の仕事に就きたい若い人や駆け出しの人と知り合い、バイトと絵をうまくやることに苦労しているようなので、何か励ましになればと思ったからです。普段は自分の話をするのは好みません。昔話なんかするの、申し訳ないので…。

わかりやすいよう、年表を書きます。


1998年(22歳)3月、大学卒業、その頃沖縄から関東へ引っ越し。
1998年は千葉でバイトをしながらどうにもならない生活をしていた。
1999年(23歳)、東京に引っ越し、漫画家鈴木みそ先生のアシスタント、雑誌イラストレーター、日雇い倉庫バイトでどうにかこうにか暮らしていた。春頃出版社持ち込みツアー。「子供の科学」の挿絵描きの仕事をもらえるようになった。秋になり雑誌「ゲーム批評」で初の漫画連載スタート。
2000年(24歳)5月のある日、突然、バイトに行かなくても済むようになったことに気づきビックリした。


若い人が気になっているのは「どうやって出版社回りをしていたか」という辺りだと思います。これはこれで1記事として別に書くべきと思うので近々書きます。読みたい人はTwitterかブログにコメント入れてください。

私の場合は漫画家アシスタントをしていたので普通の定時があるバイトができませんでした。そこで1日単位でスケジュールが決められるいわゆる日雇いバイトをやっていました。今風に言うと派遣です。具体的には大手運送会社の倉庫での荷物仕分け、大手携帯会社での製品箱詰め、懐かしの牛柄ぱそこん会社での製品箱詰めなどをやっていました。ここだけゲーム業界なので実名出しますが、今はなきデジキューブの倉庫が一番好きで長く働いていました。この場所にはのちに取材で訪れることになります。

1日働いて、交通費と食費を抜いたら「5000円」。
これで東京の暮らしをどうにかやっていました。若くて貧乏で無知だったからお金の使い方も時間の使い方も下手でした。
しかしどうにかこうにか、手元のお金で、出版社持ち込み用の絵資料ファイルをつくっていました。今風に言うと「ポートフォリオ」です。

ポートフォリオの作り方はいろいろあると思いますが、原理的には、
(1)見せたい作品を集める
(2)連絡先
(3)プロフィール
がわかるような冊子的なもの…になっていればOKです。

見た方がわかりやすいと思うので今手持ちのポケットファイルに作品入れたの作ってみました↓ こんな感じです。中身がわかりやすいようにとかいろいろ工夫したりもして…その辺りの話はまた後日別の記事として書きますね。

今となっては自分が編集者なので「見る側」に。絵、プロフィール、連絡先といった必要な情報がわかればいいので、こんなのでいいです。多分? もっと意識高い感じのフォルダに収めている人もいると思いますよ。

これを出版社や編集者のところに持って行って、見てもらって、必要なときに仕事の声をかけてもらうわけです。

ポートフォリオのファイルは編集部の他の編集者に回してもらったり、そこら辺に転がしておいたりされることもあるのでそれを想定して作っておいたほうがいいです。今はデータで相手に見せることもあると思いますが、「実体あるモノ」の力は強い効力を発揮することがあるので、冊子体は必ず作ったほうがいいです。

で、
このファイル1冊をつくるのに、クリアポケット代、印刷インク代だけでも2000円くらいかかっていました。当時の私にとっては大金…。1日手取り5000円ですから、1日働いてはファイルを作り、編集部訪問をしてファイルを渡し、1日働いてはファイルを作り、編集部訪問をしてファイルを渡し、を繰り返していました。

1日バイトを休んで=その日無収入、交通費とおみやげ費をかけて挨拶回りだったので、生活面として正直大変でした。挨拶はまあまあ得意だったのでその点は良かったです。

1999年、24歳になる年の春頃、そういう暮らしをしていて、だいたい10か所まわって半分から仕事をもらえました。割とすぐにそうなったので、その部分では苦労はしなかったように思います。

1999年は大恩人の編集者Nさんのおかげでリクルートの住宅情報誌でイラストをたくさん描かせていただいていまして、夏以降は「子供の科学」の挿絵を毎号描かせてもらえるようになり、秋には雑誌「ゲーム批評」で初の漫画連載を開始していました。その他は当時ではまだ珍しかったウェブメディアとか、書籍の挿絵とか…仕事をしては持ち込み用ポートフォリオの絵を差し替え、仕事をしては差し替えして、ポートフォリオのバージョンアップを繰り返していました。ファイルの中身が最初はお金をもらっていない自作絵だけだったのが、雑誌掲載作品のみに変わっていきました。

翌年の2000年以降はファミ通やNintendo DREAM、その他ゲーム誌、そして女性誌などの仕事が増えていきました。それは数回後に書きます。

出版社への持ち込みのしかた、持っていく資料のつくりかたについては、今やっている方法を紹介しながら、また別で書きますね。ちょうど今月、挨拶ツアーにいくところですので。

話が長くなりすぎでしたね。退屈でなかったですか?長くなったので続きは次回!今回、漫画は1コマだけでしたね。

最後に一言…バイトしながら絵の仕事目指してる人、駆け出しで掛け持ち仕事してる人、応援してます!今後も、励ましになるようなものを書いていきます。

内容のリクエストあったらDMとか送ってください。

(次の記事)
理系漫画家になるには(5)-GoGo!ミルボ初登場

↑これは、はやのんが今仕事で使ってる、激安WACOMペンタブレットです。

振り返り2019年8月-国際化学オリンピック日本大会2021クリアフォルダ

2021年の国際化学オリンピックは日本で大会が開催されるため、すでにその準備が始まっています。はやのん理系漫画制作室は広報用のキャラクターデザインやポスター、グッズ制作などの部分を担当することになりました。

2019年8月のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)のイベントで、このクリアフォルダが配布されました。

国際化学オリンピック日本大会2021の公式ウェブサイトも公開されています。こちらのウェブサイトデザインは他の企業の制作によるものです。はやのん理系漫画制作室からは、絵の提供のみ行っています。
国際化学オリンピック日本大会2021の公式ウェブサイト
https://www.icho2021.org/jp/

この大会の公式Twitterの運営を担当しています。
IChO2021 The 53rd International Chemistry Olympiad(英語)
https://twitter.com/IChO2021
国際化学オリンピック日本大会2021(日本語)
https://twitter.com/IChO2021Japan
現在は情報があまり多くはありませんが、開催に向けて更新が増えていくことと思います。

国際化学オリンピックは化学が大好きな高校生*のための競技大会です。(*実際の参加可能対象者の詳細は公式情報をご覧ください)挑戦したいかもしれない!という化学好きのお知り合い、お友達、ご家族のいる方は、ぜひ、国際化学オリンピック日本大会のホームページを、その方に、お知らせお願いします。日本での大会開催に、多くの挑戦者が集まることを願って、広報活動に取り組んでいます。