[著者コメント漫画]理系漫画家になるには(5)-GoGo!ミルボ初登場

理系漫画家の過去漫画シリーズ、その5です。今回は2002年になり、理系漫画家はやのんの代表作『GoGo!ミルボ』が登場した辺りの話です。第1回はオーロラの話でした!取材モノの科学漫画スタート!オーロラ観に行ったの自費でしたよ?

(ここまでの記事)
理系漫画家になるには(1)-はじめまして!理系の漫画家です!
理系漫画家になるには(2)-石垣島でファミコンに出会い、高校で物理に出会うまで
理系漫画家になるには(3)-文系女子高生、物理学科を受験!?
理系漫画家になるには(4)-10社中5社から仕事が来た出版社持ち込みツアー

(前回までのあらすじ)沖縄の石垣島で育ったはやのん、文系女子高生だったのに大学は物理学科へ。上京しミュージシャンの夢破れ、バイト、生活苦、「しかたなく」絵の仕事を始め、東京の出版社持ち込みツアーをしたところ、10社中5社から仕事が来て、ある日を境に絵だけで生活できるように…。

このシリーズは2011年に描いた自己紹介漫画『理系漫画家になるには』をキリヌキで数話に分割して、ブログで無料公開するものです。このタイトルの通り、理系の漫画家になりたい人がいたら、何かの参考にしていただければと思います。


追記:どうもこのタイトルから「今デビューした瞬間の理系の漫画家」と思われたようで!?びっくりしました。1991年に商業誌デビュー、2002年に科学誌デビュー、2007年から「理系漫画家」と名乗り、理工系に特化した漫画を長年描いている者です…!
理系漫画家はやのんプロフィールのページ
Twitterにも略歴あります!


1999年5月の持ち込みツアーの時に訪問した10社のうちのひとつが「子供の科学」編集部でした。「自分は物理学科出身だから、科学の絵は描けるだろう」と思い、作品ファイルを持って挨拶に行きました。この絵に登場しているのは当時の副編集長Aさんで、大変お世話になりました。「編集長呼んでくるから待ってて!」と慌てているのを見て、「何で驚いているんだろう…?」と不思議に思っていたのですが、当時は理系でイラストレーター、という人が、あんまり?全然?いなかったからだとわかりました。今は掃いて捨てるほどいますけどね。編集長Nさんにも大変にお世話になり、科学誌の仕事に必要なことをいろいろと教えていただきました。

最初に絵を描かせてもらったのは何月号で、何だったんだろう…ごめんなさい、覚えていません。もう20年前のことです。実家にはバックナンバーがあるので今度見てみます。2000年の夏休み工作の別冊のためにたくさんのカットを描かせてもらうことができて、それで初めてまとまった額の原稿料を得た覚えがあります。

この夏休み別冊の絵を描いている最中に、「ミルボ」のモデルだった犬の「ミル」が死んでしまいました。「ミル」は他のゲーム雑誌の漫画連載で、「ミル犬」というキャラクターとして登場していたのですが、その生犬の「ミル」が死んでしまったので、ロボットの「ミルボ」をつくって漫画キャラクターにしました。

2000年~2002年は企画や読者コーナーの絵をずっと描かせてもらっていて、いろいろなチャレンジをさせてもらっていました。それより以前の誌面の絵とだいぶ違っていたので、嫌いだと感じた読者の方も多かっただろうと思います。

2002年になり、漫画連載スタート

それまで連載していたページものの漫画の連載が終わったので、ここぞとばかりに「漫画の連載をさせてください」と猛烈に押しました。私はゲーム雑誌の方ではすでに前の年からレポート漫画の連載を初めていたので(ファミ通PS2『気になったもんで』)取材漫画自体は、やれると思っていました。取材モノの科学漫画は多分珍しかったと思うので、だからこそやりたかったわけですが、前例のないものをやろうと思ってくれたNさんAさんには本当に感謝しています。

第1回はひとりで観に行ったオーロラの体験をもとに、名古屋大学太陽地球環境研究所(STEL、現在は改組して別の組織となっています)を初めて訪れ、当時の所長、上出洋介先生にオーロラのお話をしていただいて、漫画にしました。

名古屋大学太陽地球環境研究所
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/index.html.ja

名古屋大学のサイトからpdfをダウンロードすることができます。
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/ste-www1/pub/mirubo/gogo-aurora.pdf

これがその漫画です。
すっごい絵、すっごい色、すっごい文字です。私も雑誌が出たときビックリしたんですが。これにはわけがありまして…。

「2色刷りの漫画連載をしないといけない」となりまして、2色刷りの原稿のやり方を知らなかった私は、当時近所に住んでいた絵本作家のフジモトマサル先生を訪ねていきました。フジモト先生は当時美しい2色刷りの絵本をたくさん出版されていて、こんな私のこんな漫画絵のために、丁寧にやり方を教えてくださっていたのです。本当にありがたく、何十年も忘れていません。

で、2色刷りにしたかったのですが、どんな色が掛け合わされるのかをイマイチわかっておらず、色校正が出ないようなスケジュールだったのか何なのか色も見ず、第1回が出てしまいました。ぎゃー。文字も、漫画用の文字入れをしたことがない、どうやったらいいのかなあ、と編集担当の方が言っていたので、その言葉の通りだったのでしょう。とにかく、こうなりました。思い出話としておもしろいから、まあいいか!

その、フジモトマサル先生なのですが、逝去のニュースを2015年インターネットで見て本当に驚きました。心より哀悼の意を表します。すばらしい作品がたくさんありますので、みなさん、読んでください。
http://www.fujimotomasaru.jp/

この第1回の漫画の中では、上出洋介先生にオーロラのお話をしていただいたのですが、こんな話をしてもらっていました。

漫画の中で、主人公のミルボともるちゃんが、先生に質問をするわけです。二人は、「先生は何でも知っている」と思っていて、答を教えてもらいたがります。でも、上出先生は「うーん、それは、私にもわかりません!」と答えたのです。

科学者は、何でも答を知っている、と多くの人は思っています。でも、そうじゃなくて、わからないことがあるから、調べる、それが仕事なのだと。科学漫画の最初の取材で、この大事なことを教えていただくことができたんです。

この一言で、その後の私の科学漫画、理系漫画は、ずっと続いています。

名古屋大学太陽地球環境研究所からはたくさんのミルボ漫画の題材をいただきました。雑誌の話をもとに独立した冊子に描き起こした「…ってなんだ!?」シリーズもあります。たくさんあるので、研究所のホームページからダウンロードしてください。このシリーズには英語版、他の言語版もあります。いずれ改めて紹介します。

一般向け本コーナー、ミルボシリーズ
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/ste-www1/doc/outreach_j.html

今回も長かったです。当時お世話になった方々に感謝しています。それから、その頃漫画を読んでくださった方も、本当にありがとうございます。うまくできなかった部分もあったけど、一生懸命描いていました。この漫画を見て理系になった、研究者になったと言ってもらえたこともあります。この漫画を見てレポート漫画家になったという人にも、最近出会い、自分ではうまくやれなかったこともあって悔やむことも多かったけれど、やっていてよかったんだなと思いました。

さて次回は理系漫画家と並行してやっていたゲーム雑誌・ゲーム業界仕事のお話です!

(次の記事)
理系漫画家になるには(6)-ゲーム業界昔話

↑これは、はやのんが今仕事で使ってる、激安WACOMペンタブレットです。

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